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大型船の実験結果を参考にして係数を定めた。
(5)部材算式
・部材算式は、板厚を除いて、簡明な弾性材料力学によった。最大衝撃荷重に対して塑性変形を生じない要求とした。
・部材の要件は、NKの技術基準(鋼船規則C編)9)の規定との整合性を図った。
(6)船体材料
・船体に使用するアルミニウム合金材料を明記し、耐力についても詳細な規定を設けた。
・鋼船の場合の腐食予備厚は、板部材では1mm、桁、防撓対等の断面積は10%増の要求とした。
(7)その他
本基準案の荷重計算は軽構造船暫定基準に比べ、合理的と思われるが、一方、計算過程が複雑である。そこで、船体主要目、設計速度、設定加速度等を入力すれば簡単にパソコンで計算できるように計算シート(表計算ソフトExcelによる)を用意した。また、実船の部材の設計値を入力すれば要求値と比較され、判定可能となっている。
3.2設計荷重
3.2.1船底衝撃荷重10)
(1)設計荷重設定の条件
高速船艇の船底衝撃水圧は船首加速度と共に、船体運動と波浪が同調した場合に大きくなる。波浪中を高速で航行することを常とする船舶では、完成時に想定される荒れた海面を高速で航行し船体の耐波性能を確認することが行われている。これらの実績から正面向かい波、ないしは斜め向かい波で船体運動が波と同調した場合に、船体加速度、船底衝撃水圧が最大になることが知られている。もちろんこれ以外で大きな衝撃水圧を受けることもあり得るが、通常この状態の荷重に耐えられれば、問題はないと考えられている。
設計荷重の設定は許容応力との関係で論じられるべきものである。本基準においては弾性設計をべースにしており、対象船が運航可能な限界の状態で生じる最大荷重に

 

 

 

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